うつ病は気の持ちようで治るだろうと安易に考える人が多いようです。
しかし、「脳内の神経伝達物質の働きが低下してゆううつな気分になる状態」であり、
うつ病は誰でもかかりうる病気です。
他の病気と同じように医療機関で治療することが必要です。

◆病気の概要

ゆううつな気分になる、イライラする、眠れない、食欲がなくなるなどは日常生活でもよくあることです。しかし、それらの不調が1日中、2週間以上続くと注意が必要です。その背景にうつ病が隠れているかもしれません。うつ病は気の持ちようで治るだろうと安易に考える人が多いようです。しかし、「脳内の神経伝達物質の働きが低下してゆううつな気分になる状態」であり、うつ病は誰でもかかりうる病気です。他の病気と同じように医療機関で治療することが必要です。

 

◆うつ病の症状

いままで楽しんでいたことが楽しめないことは重要なサインです。不眠や食欲低下などからだの症状を伴うこともあります。
ゆううつな気分、活動性の低下、わずかに頑張った後でもひどい疲労感を感じる、集中力や注意力の低下、自己評価や自信の低下、罪悪感、悲観的な考え方、死にたいと思う気持ち、などの症状が1日中、少なくとも2週間は継続します。

 

◆きっかけ

うつ病の発症は、学校や職場の人間関係、子どもの独立、家族や友人との死別といった「日常生活のストレス」や「環境の変化」に関係していることが多いといわれます。一見周囲の人には喜ばしく思える結婚、出産、昇進なども強いストレスになりうることがあります。また、病気やけがが原因となる場合もありますが、はっきりときっかけのない方もいます。原因を追及しすぎず、自分を責めることのないようにしましょう。

 

◆うつ病の治療

治療の基本は「休養」、「薬物療法」
うつ病は早い段階に休養して適切な治療を受ければ改善する病気です。うつ病の治療の中心はまず休養すること、その次に抗うつ薬などのお薬を使用していきます。うつ病を長引かせないためにもきちんと医師の指示に従って治療を続けることが大切です。

・薬物療法
抗うつ薬や抗不安薬で気分や身体の不調を整えましょう。抗うつ薬は脳の神経伝達物質のバランスの崩れを調整する作用があります。抗うつ薬の効果が現れるまでには2週間から1ヶ月かかることもあります。焦らずに主治医の指示に従いましょう。不安や緊張が強いときには、それらを和らげる薬が使われることがあります。

・精神療法
コミュニケーションを通して行われる治療のことです。少しずつ気持ちや考え方を整理していきましょう。

・環境調整
自身の負担となっている環境を整理していきましょう。地域や家族、職場など、要因となっている環境から一時的に離れることも必要です。

 

◆周囲の対応

うつ病は「怠け」ではなく「病気」です。必要以上に頑張ってしまう、逆に頑張りたくても頑張れない状態の人がいます。「否定せず、客観的に、励まさず」話を聞いてあげてください。病気のことをきちんと理解し、適切に対応することが回復の助けになります。

また、本人が症状に気づいていないときや、認めたくない場合もあります。まずは「心配ししている」ことを伝え、受診や相談を進めて下さい。うつ病のときは物事を悪く捕らえがちになります。大切な決定事項は病気がよくなってから考えるようにアドバイスしてください。

回復には時間が必要です。よくなったり悪くなったりを繰り返しながら徐々にゆっくりと回復していきます。根気強く見守ることが必要です。